番外編(川島雄三作品) NEW 2021.6.14
『東京マダムと大阪夫人』未DVD化 川島雄三監督
1953年 松竹


川島映画ファンには人気の高い『東京マダムと大阪夫人』。管理者も大好きな川島映画だ。
本作はほとんどが社宅と会社を舞台に描かれるが、途中大阪のロケーションが登場する。
大阪駅前、道頓堀、心斎橋、大阪城など一目でわかる場所も。
大阪夫人(水原眞知子)が実家の昆布問屋「浪花屋」(画面の暖簾のショットには創業永禄三年とある)に帰省する。
一足先に帰省していたのが弟の田村八郎(高橋貞二)。そして水原眞知子の夫・西川(大坂志郎)の勤める会社の
専務の娘(北原三枝)も東京から遊びに訪れる。

高橋貞二が外出から戻って、東京から出張で大坂に来た、社宅で西川夫妻と隣同士の伊東(三橋達也)=東京マダム(月丘夢路)の夫
と出会うシーン直前のショット。角に特徴的な建物がある。

毎回だが、K氏に画面写真をメールで見てもらったところ、ロケ場所を特定していただいた。
場所は「くすり」で有名な道修町(どしょうまち)通。3丁目1番地あたり。
グーグル写真と画面写真を比べてもらえれば窓の格子などでこの建物だとわかる。
ロケ地特定の重要な要素の一つ=電信柱の位置も同じ。
ロケ地ではこういう通りや住宅街の特定が一番難しい。
ストリートビューで検索できるとはいえ、見つけていただいたK氏にはあらためて感謝である。
これは大阪の土地勘がないと特定困難だ。東京生まれ育ちの管理者には無理である。
映画ではこの建物が「浪花屋」の設定のように見える。(下記の水原眞知子の右側の建物。通りのアングルもグーグル写真と同じ)

映画タイトルに続く本作のクレジットタイトル。出演者の配役のクレジットは笑ってしまう。
上記の高橋貞二は映画の中でたむらはちろう=田村八郎?と名乗るが、クレジットは「空の男」=航空会社への就職で東京に出てきた操縦士。
北原三枝は「山の手のお嬢さん」、東京マダム=月丘夢路の妹の芦川いずみは「下町のお嬢さん」。
月丘は「みえこ」、芦川は「やすこ」と呼ばれている。
月丘、芦川の父親で老舗の東京下町の傘屋の主人・坂本武は「頑固なお父さん」。
その他にも多々良純は「恐妻家の課長さん」、社宅に住む夫人たちのリーダー役の丹下キヨ子は「あひる夫人」だ。
映画の冒頭で、噂話をしながら丹下の後を歩く社宅の夫人たちと社宅の敷地の池のアヒルの群れとのシニカルな比喩がある。

      
     

 


    


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